小さなクリニックから
2006-03-08T17:31:02+09:00
takkenm3
知識の整理
Excite Blog
症例1(多彩な角膜症状)その3
http://takeuchime.exblog.jp/988401/
2006-03-01T21:57:00+09:00
2006-03-04T11:02:06+09:00
2006-02-27T21:57:06+09:00
takkenm3
症例報告
患者さんがやってきたのは、年末の最終診察日。
『4-5日前から左眼の流涙。視力も低下してきた・・・・』
左眼の角膜中央やや下方に大型の樹枝状角膜潰瘍
よく見ると、上皮病変だけでなく、実質も浮腫混濁している。
ヘルペスだったのか・・・・・・・・・・・・・
点眼すべて中止し、ゾビラックス眼軟膏(左×4)処方
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症例1(多彩な角膜症状)その2
http://takeuchime.exblog.jp/986110/
2006-02-28T19:51:00+09:00
2006-03-01T07:58:29+09:00
2006-02-27T19:51:00+09:00
takkenm3
症例報告
1、POAG (眼圧が高すぎ、片眼性)
2、PE症候群 (PEがない・・・)
3、Posner Scholossman syndrome (可能性高い。矛盾しない・・・)
4、続発開放隅角緑内障(ブドウ膜炎)(ぶどう膜炎の所見は軽微)
5、 Fuchs heterochomic cyclitis(虹彩異色なし、血管新生なし)
6、角膜内皮疾患(ICE症候群)(角膜内皮異常なし)
7、ステロイド緑内障(ステロイド点眼していない・・・)
以上より、Posner-Schlossman 症候群類似のぶどう膜炎に続発した開放隅角緑内障と診断し、
リンデロンA点左×4、0.5%チモプトール点左×2、トルソプト点 左×3
を開始した。
某年12月5日、眼圧は下降し、角膜浮腫も徐々に改善し、角膜内皮側にKPが少し見られるようになった。 前房の細胞は(―)のようだが、もう少しステロイド点眼継続することにした。
下の写真は、かなりきれいになっているでしょ。ところがねえ・・・・
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症例1(多彩な角膜症状)その1
http://takeuchime.exblog.jp/985407/
2006-02-27T18:55:00+09:00
2006-03-04T11:03:05+09:00
2006-02-27T18:55:57+09:00
takkenm3
症例報告
某年11月30日
70歳前後の男性が、『左眼が2-3日前から見えにくい』との訴えがあり初診。
視力 右0.4(0.5×S+2.00D=C-1.5DAx90) 眼圧 右 15
左0.01(0.02×S+5D) 左 34 mmHg
(左眼は、もともと視力が悪く(0.1~0.2)程度で、今回更に視力低下している・・・)
右眼は、ごく軽度の白内障と、視神経乳頭には、やや大きめの陥凹と splinter hemorrhgage とNFLD(?)。この時点で、右眼は、正常眼圧緑内障の疑いがあるが、経過観察とした。
左眼は、
結膜:軽度の毛様充血
角膜:びまん性の上皮性浮腫
前房:正常の深さ。細胞・フレア(-)
隅角:wide open, pigment(+)
水晶体:軽度の皮質混濁
眼底:少し見にくいが、特に異常所見なし
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レーザー虹彩切開術後に発症する水疱性角膜症
http://takeuchime.exblog.jp/981605/
2006-02-27T13:38:19+09:00
2006-02-27T13:36:11+09:00
2006-02-27T13:36:11+09:00
takkenm3
医療情報(緑内障)
原発閉塞隅角緑内障には、この二つタイプがあり(中間的なものもあるが・・・)、共に出発は、相対的瞳孔ブロックという機序であり、この段階では、全く視機能に問題ありません(視力・視野・眼圧・視神経所見全て正常)。もし、安全確実に、この瞳孔ブロックを取り除くことができれば、原発閉塞隅角緑内障は、完全に葬り去ることが可能です。
かつて、瞳孔ブロックを取り除く手段は、観血的治療:周辺虹彩切除術しかなく、手術対象は、発作を起こした眼か、かなり進行した原発閉塞隅角緑内障の慢性型だったと思います。レーザーの登場によって、レーザー虹彩切開術が普及するようになり、原発閉塞隅角緑内障が予防可能となりました。これによって、放置すれば緑内障で大きく視機能を損なう可能性のあった多くの眼を救ったことは間違いないと思うのですが、ここにひとつ落とし穴がありました。
レーザー虹彩切開術後、角膜が白く濁ることがあるのです。私も、大学時代、1眼経験しました。何年も前に、レーザー虹彩切開術が行われていた眼で、その後の経過を見ていたのですが、角膜が下方から徐々に白くなってきました。最初いったい何が起こったのかわからなかった、最後には、全面的に白くなり、所謂『水疱性角膜症』になったのです。15年以上前のことで、当時、何故、このような事態になったのか解らなかったのですが、後に、症例が数多く報告され、実は、レーザー虹彩切開術後、角膜内皮細胞が減少し、水疱性角膜症になることがあると解ったのです。その後、我々は、レーザー虹彩切開術の適応に慎重になりました。術前に角膜内皮をスペキュラーマイクロスコープでチェックするようにもなりました。特に、角膜内皮疾患があったり、緑内障発作眼においては、既に角膜内皮が強く障害されている場合があり、レーザー虹彩切開術よりも、内皮に優しい観血的手術の方が選択されるべきとも考えるようになりました。
ただ、このレーザー虹彩切開術後の水疱性角膜症については、いくつかの謎があり、まだ完全には解明されていません。例えば、緑内障発作がすぐに緩解されなくて、内皮の状態が悪く、レーザー虹彩切開術で非常に大きなエネルギーを必要とした場合に、後に水疱性角膜症が発症したのなら容易に理解できるが、全くサイレントな眼で、角膜内皮も問題なかったと思われる眼に、予防的に行われた後にも発症するとの報告が見られるようになりました。これは、大きな謎です。今回、角膜カンファレンスで、この謎に挑むシンポジウムがあったので報告します。謎のポイントは、
1、日本人に多い。欧米では殆ど知られていない。
2、レーザー虹彩切開術から発症まで何年もかかることがある。
3、通常レーザー虹彩切開術は、上方に行うが、水疱性角膜症は下方か起こることがある。
などでしょうか。
1、愛媛大の宇野先生
房水ジェット噴流説:レーザー虹彩切開術の孔からの房水ジェット噴流が内皮を蝕む
前房内の房水の流れは、角膜内面を下方へ0.18mm/s 、虹彩前面を上方へ 0.068mm/s 程度で、レーザー虹彩切開術を行うと、その孔から初速 45mm/s 平均3.3mm/s のジェット噴流が角膜内皮に向かって噴出している。通常の200倍以上の速度です。また、その速度は、レーザー虹彩切開術の孔が小さいほど速くなるそうです。彼らの言葉によると、この荒れ狂う異常な房水動態が水疱性角膜症の発症に大きく関わっているという。
ちょっと計算してみると、この45mm/s というスピードだが、時速0.16km程度で、これでジェットと言えるかどうか・・・
2、独協医大の妹尾先生:レーザー虹彩切開術後の前房内温度及び活性酸素の変化について
Argon laser を、Size 100μm、Power 1000mW, Time 0.05sec で、500発打つと、
前房内循環状態で 11.64±0.35℃ 上昇
前房内循環停止状態で、 21.78±0.96℃ 上昇
ただ、レーザー虹彩切開術部位から離れると殆ど温度変化はない。
ヤグで行うと、どの部位でも温度変化なし。
だから、Argon でやると水疱性角膜症が起こる??。 ただ、かつて眼科で一般的だった温罨法で、この程度の温度上昇は起こっていて、全く問題ないことが証明されているのである。
3、筑波大の加治先生:
角膜内皮創傷治癒説―終わりのない角膜内皮創傷治癒が水疱性角膜症へとつながる
難しい数式を操る先生ですが、要点は、
レーザー虹彩切開術の孔からの噴流が角膜内皮面へぶつかり、その噴流は角膜内面を下方へ向かう。この内面に与える圧力は、大きくても0.007mmHg。これは僅かな値だが、下方へ向かう水の流れが(??)、内皮細胞を引き剥がす力剪断応力は、0.1~1dynes/cm2。この値というのは、角膜内皮が健常であれば、問題ないが、レーザーによって 大きめのthermal burn があって、内皮がある程度以上広範囲に脱落し、周囲の内皮が遊走するという治癒機転が働くと、その接着不良な内皮は、高まった剪断応力に引き剥がされる。すると、遊走・剥離というサイクルが繰り返され、内皮減少は終わらない・・・・?
一番説得力のありそうな意見であった。レーザー虹彩切開術の孔、ジェット噴流、高まる剪断応力、これにレーザーによる直接の内皮損傷がある程度以上加わると(あるいはその時点で存在する内皮障害の程度)、遊走・剥離のサイクルが動き出す・・・。
4、東大の山下先生:マクロファージ説
レーザー虹彩切開術によって、焼かれた虹彩組織が前房内を飛び散り、角膜内面に付着する。
レーザー虹彩切開術によって、虹彩の血管透過性が亢進し、マクロファージが遊走
このマクロファージは、アルゴンで焼かれた虹彩組織断片を貪食。引き続き、角膜内皮を貪食する??
少し説得力に乏しい意見のような・・・
私としては、筑波大の加治先生の説に軍配を上げたいが、ただ、適切に行われたレーザー虹彩切開術において、どれくらいの頻度で、水疱性角膜症が発症しているのだろうか。角膜専門医の立場とすれば、角膜移殖の対象疾患の中に占める、レーザー虹彩切開術後の水疱性角膜症の比率が高いので、このようなシンポジウムとなったのだろうが、ただ、頻度的には、非常に低い訳で、この低い発生率をも説明できるような議論ではなかったようが気がする・・・。私は、今までどおり、慎重に適応を決めて、ぽつぽつとは、レーザー虹彩切開術しようと思っています。
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角膜のお勉強3
http://takeuchime.exblog.jp/981593/
2006-02-27T13:34:50+09:00
2006-02-28T07:42:33+09:00
2006-02-27T13:34:50+09:00
takkenm3
医療情報(角膜)
次は、外眼部感染症(鏡検と培養)についてのランチョンセミナーから
1、アカントアメーバと真菌:検鏡と培養の秘訣(石橋康久先生)
最初が、本学会の名物弁士?。石橋先生(北里研究所メディカルセンター)。この方の話をお聞きするのは始めてでしたが、すっかり虜になってしまいました。ひとつのことを長年にわたり追求される真摯な姿には、感動を覚えます。
この感染症の専門家は、アカントアメーバと真菌についての講演。とりわけ検鏡の重要性、特にパーカーインク・KOH 染色の優位性を示されました。皮膚科領域で、真菌を染色する最もポピュラーな染色ですが、この検鏡と引き続いての培養は、治療方針を明らかにする為に重要で、治療開始後は、検鏡のための掻爬は、治療そのものでもあり、その材料の検鏡・培養は治療効果判定の為にも必要となるそうです。実は、掻爬部位が重要で、病巣の辺縁なのか中心部なのか、深部なのか浅層なのかが重要だそうです。
2、最近の鏡検と培養:12の秘訣(井上幸次 教授)
①常在菌を知っておくべき:
1、Staphylococcus epidermidis
2、Propionibacterium acnes
3、Corynebacterium
4、Staphylococcus aureus
5、Enterococcus
②培養で出やすい菌と出にくい菌がある。
出やすい菌は、検出されても原因菌でないかもしれない。
出にくい菌は、検出されないので、原因と推定しにくいが、想定しておかないといけない。
培養で検出されやすい菌
1、Staphylococcus epidermidis
4、Staphylococcus aureus
3、Corynebacterium
培養で検出されにくい菌
1、Streptococcus pneumoniae (肺炎球菌)
2、Haemophillus influenzae (インフルエンザ菌)
③塗沫検鏡検査と培養結果が一致すれば、それが起炎菌。
④角膜病巣の擦過は辺縁で勝負。
⑤抗菌薬Virgin が狙い目。(治療してあると、それが無効であったとしても、菌は検出されにくい・・・・)
⑥嫌気性菌は、嫌気ポーターですばやくキャッチする。
⑦直接培地培養もやってみる。
⑧涙小管炎は、塗沫検鏡検査が命。
⑨性行為感染症では塗沫検鏡検査が威力を発揮。
淋菌性結膜炎が問題となる・・(原因菌:neisseria gonorrhoeae)
※セフトリアキソンが有効
⑩感受性検査の盲点:PAEとAQCmax
PAE(post antibiotic effect) とは,抗菌薬を細菌に一定時間作用させると,血中・組織での抗菌薬が有効濃度以下になっても,細菌の再増殖がある期間抑えられる現象のことである.
例えば、うちの子供は、大きな声でしかると、しばらくおとなしくしていますので、この場合、PAEあり?でしょうか。しかる時、一発ゴンとやると、PAEは大きくなり、そして、私よりも、かみさんの声は、PAEに乏しく、長女は長男よりもPAEが明瞭・・・・?また、子供は成長に伴い、PAEが不明瞭になっていく・・・これで、PAEは、理解しやすいかな。
房水内最高濃度値(AQCmax) は点眼液の眼内移行動態を評価するために新たに提案された新しい指標(眼内薬動力学的パラメータ)である.
これも、子供の教育に喩えると、大きな声でどなるだけでは、子供の心に響かない。心に響かなければ、効果がない。いくら点眼しても、眼内に移行しなければ、中の細菌は殺せない。子供に声をかけて、それがどれだけ彼らの心に響くかが問題で、私の言葉は、AQCmaxが低い(;>_<;) 。AQCmaxをあげるには、彼らの気持ちを理解する必要がある。彼らがカリスマと尊ぶ存在の言葉なら、非常にAQCmaxは、高くなる。私にとっては、高校生時代は、太宰治だったような・・・・
PAE と AQCmax について
a. PAE を持たない薬剤
薬剤が有効濃度より低下すると微生物の増殖が起こるため,投与間隔は短くする必要がある.
※グラム陰性菌が起炎菌である場合,βラクタム剤の投与は頻回投与を選択すべき.
b. PAE を有し作用濃度に影響を受ける薬剤
ニューキノロンやアミノグリコシドは短時間に優れた殺菌効果を示し,PAE も濃度依存性を示すことが知られている.
※黄色ブドウ球菌感染症において,ニューキノロン点眼を使用する場合,
1 日6 回等間隔での点眼より,
5 分おきに3 回点眼を1 日2 クール行うほうが効果的
(名案でしょうが、誰か実践しているのかなあ・・・)
c. PAE を有し作用濃度に影響を受けない薬剤
MRSA 感染症では,バンコマイシン点眼は効果的な薬剤である.
バンコマイシンは殺菌効果,PAE ともにMIC 以上では濃度依存性ではなく,時間依存性である.
バンコマイシン点眼を使用する際は,MIC 濃度の点眼を等間隔に頻回投与するのが効果的であろう.
併用療法の場合
抗菌薬では,薬物の組み合わせによる相乗効果で抗菌作用の増強が知られている.
PAE についても同様に併用療法によってPAE が延長する薬剤の組み合わせがある.
具体的な例として,MRSA 感染症では,ホスホマイシン or バンコマイシンと,β-ラクタム剤の併用でPAE が延長する.これを生かした投与方法として,
MRSA 感染症において,
PAE 効果の強いイミペネム点眼を5 分おきの3 回点眼を1 日2 クール,
PAE は持つが濃度依存性のないバンコマイシン点眼を1 時間おきに点眼
AQCmaxについて
AQCmax:薬剤の眼房水内移行濃度を客観的に評価でき,しかもその薬剤の実際の臨床効果を予測する有用な指標になる.さらに,得られたAQCmax と個々の菌に対するMIC 値の逆数を掛けて得られた値(AQCmax×1/MIC)の大きいものほど臨床効果が期待できる
⑪感受性検査の解釈 : Rは本当にRか?
点眼の濃度は、非常に高濃度であり、通常の感受性検査でRであっても、有効なことが多い。
※点眼は、内服や点滴で実現する濃度をはるかに上回る高濃度を達成できる。我々眼科医は、このことを念頭において、感受性検査を解釈しつつ、治療を行う必要がある。
⑫外注する時の注意事項
薬剤をいくつか指定して、感受性検査を依頼しても、指定した薬剤を使わずに、その薬剤グループの他の薬剤で代用している会社があるらしい。
本当の話のようで、恐ろしいことである。結構有名な会社でも、やっているとか・・・
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角膜のお勉強2
http://takeuchime.exblog.jp/981581/
2006-02-13T13:31:00+09:00
2006-03-08T17:31:02+09:00
2006-02-27T13:32:36+09:00
takkenm3
医療情報(角膜)
これは、加齢に伴う皮膚にできる『皺』の結膜版のようで、年をとれば、皮膚も緩むし結膜も緩むのです。ただ、この緩んだ結膜は、下眼瞼と角膜が作る部位を占拠する。当然眼表面の涙液量はこの部位に殆ど存在するので、涙液貯留量は低下する。この疾患のポイントのひとつは、涙液貯留量が減少することである。もうひとうは、開瞼に伴う、涙液の角膜表面への分布障害である。
結膜に占拠されて涙液貯留スペースは少ないので、涙液分泌量が保たれている場合、間歇的な流涙の原因にもなるし、涙液分泌量が少ない場合、ドライアイを悪化させる。また、機械的な作用(瞬目に伴う摩擦)による炎症も引き起こしているらしい(結膜下出血の原因にもなる)。
私の印象では、この結膜弛緩は、非常に多いものの、その程度の強さに応じて自覚症状が強いという印象があまりないのだが、これに手術をするというのである。
治療としては、
1、炎症に対しては、ステロイド点眼、NSAID点眼
2、ドライアイに対しては、ヒアルロン酸点眼、人工涙液点眼
3、流涙に対しては、NSAID点眼
を試みて・・・・、それでも、非常に強い愁訴が続く場合、手術の適応と考えるらしい。
この手術方法には、二つの異なるアプローチがあり、有名なのは、横井先生の方法で、要するに、余っている結膜を切除する方法で、細かな修正が加わり、完成の域に達したようである。もうひとつの方法だが、結膜は、球結膜と瞼結膜があり、この二つは、結膜円蓋部で連続しているが、この部分が浮き上がることで、結膜が緩んできているので、この円蓋部近くの結膜を眼球に固定する(anchoring suture)術式である。全く、アプローチが異なるが、後者の方が、理にかなっているような・・・・
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角膜のお勉強1
http://takeuchime.exblog.jp/981521/
2006-02-11T13:24:00+09:00
2006-03-01T08:00:28+09:00
2006-02-27T13:25:23+09:00
takkenm3
医療情報(角膜)
20年以上大学の緑内障外来に所属していた関係で、緑内障関連の学会・勉強会には、積極的に参加してきましたが、開業して、6年も経過すると、偏りのない知識と経験の必要性に迫られ、いままで殆ど縁がなかった学会にも参加するようになったのです。
今回は、角膜カンファレンス30周年という節目の会で、今、何が議論されているかというと、非常に多岐にわたりますが、気になったのは、
1、ドライアイ、2、感染症、3、翼状片でした。
ドライアイに関しては、世界中の医師を巻き込んで新しい診断基準が作成されつつあります。ただ、涙が少ない眼というだけではなく、『様々な要因による涙液及び角結膜上皮の慢性疾患で、不快な症状と視覚障害を伴う』と定義されるそうです。新しい診断基準の要点としては、
まず、自覚症状が診断基準に入ってきたことで、
1、不快感、 2、視覚障害 このふたつです。
不快感というのは、『痛み』に関連した症状だが、人によって、表現が様々なので、詳しい問診が重要になります。 視覚障害というのは、涙液膜の安定性の低下にともない視力が低下することで、実用視力計というものが発表されていました。ドライアイ患者においては、開瞼中に徐々に視力が低下している状態が明らかにされていました。
次に涙液の評価。
これは、シルマーⅠ法が昔から有名で、診断基準としては、これとBUTの2つです。
このシルマーⅠ法は、涙液の基礎分泌に加え、検査用紙が結膜を刺激し、非常に長い Reflex loop を介して涙腺から反射性に分泌される涙液の量を測定している訳です。ただ、最近は、眼球表面に存在する涙液の量を推定する方法がいくつも発表されています。
眼球表面に存在する涙液量を反映しているのが、下眼瞼と角膜の接する所に溜まる涙液で、、この涙液メニスカスの量の評価を定量的にする方法として、
1、スリットでみた印象
2、フルオレセインで染色された涙液△の高さをメジャーで測定
3、メニスコメトリー法を用いた涙液メニスカスの曲率半径測定
4、DR-1という涙液スペキュラースコープの応用
5、Tearscope plus を用いて撮影した写真の解析
などがあり、斬新だったのは、
DR-1で、涙液層最表層の油層が開瞼に伴って角膜上に広がるスピードを計算し、このスピードが角膜上の涙液の量を判定しているという、府立医大の横井先生の発表で、非侵襲の角膜上の涙液量測定装置になりうるらしい。。
従来簡便な方法として、使われた綿糸法は、信頼性に欠ける理由からか、診断基準から外れた。
ドライの評価としては、この涙液貯留量を正確に測定することがシルマーテストより重要だそうである。いつも同じ条件で、フルオレセインで染めた涙液三角の写真をとれば、器械がなくてもおおよその定量は可能だと思うのだが・・・
角膜表面の涙液の不安定性を評価する方法としてのBUTが5秒以下というのも診断基準だが、これは、3回平均で決定される。このBUTを客観的に評価する方法として、TSASというTMSという角膜前面のトポグラフィーを開瞼したまま何枚も測定し、涙液がブレイクしていく状態を評価するシステムもある。
このほかにも、波面収差を解析する機会を応用する方法も紹介されていた。私は、お金がかからない、BUTで十分だと思っています。
最後に、角膜・結膜の障害の程度の判定で、
角膜は、フルオレセインで染色し、上・中・下と3等分し、それぞれを3点満点で評価し、9点満点で3点以上が基準とないrます。
結膜は、従来ローズベンガルが染色が有名だが、これはとても痛いので、リサミングリーンで代用してもいいらしい(売っていないが・・・)。鼻側結膜、角膜、耳側結膜をそれぞれ3点満点で評価し、9点満点で3点以上が基準となる。
ドライアイは、角膜よりも結膜上皮の障害が先行し、程度も強いのが特徴で、この結膜上皮障害の程度を評価する為に、フルオレセイン染色して、普通に観察するだけでは見にくいので、ブルーフリーフィルター(イエローフィルター)を使用したり、リサミングリーンを使ったりして観察を容易にする努力が行われている。ただ、通常の観察でも注意深くやればそれで十分という発表もあった。私も、同感である。
感染症と翼状片については、後日アップします。
ドライアイの診断ステップ(順番が大切)
1、まずフルオレセイン用紙を濡らし、余分の水分を拭き取り、下眼瞼縁に僅かにつける。
(非常に少量!)
2、涙液メニスカスの高さを見る
3、BUT測定(3回)
4、結膜上皮障害(すばやくみないと解らなくなる)
5、角膜上皮障害
6、結膜弛緩、MGD・・・眼疾患をチェック
最後にシルマーⅠ法
その他の気になった発表
1、喫煙で涙液機能は低下する。シルマー↓、BUT↓、TSAS、結膜上皮、口腔粘膜障害
2、閉瞼下で、シルマーをしてもいい?
ドライアイに関連する疾患として、結膜弛緩症があります。
これは、どうも、加齢に伴う皮膚の『皺』の結膜版のような気がしています。皮膚も緩むし結膜も緩む。ただ、この緩んだ結膜は、涙液⊿を占拠する。当然眼表面の涙液量はこの部位に殆ど存在するので、涙液貯留量は低下する。また、開瞼に伴って、角膜表面に分布されるのも障害する。ただ、結膜に占拠されて涙液貯留スペースは少ないので、涙液分泌量が保たれている場合、流涙の原因にもなるし、涙液分泌量が少ない場合、ドライアイを悪化させる。また、機械的な作用(瞬目に伴う摩擦)による炎症も引き起こしているらしい(結膜下出血の原因にもなる)。
私の印象では、この結膜弛緩は、非常に多く、その程度の強さに応じて自覚症状が強いという印象が全くないのだが、これに手術をするというのである。
治療としては、
炎症に対しては、ステロイド点眼、NSAID点眼
ドライアイに対しては、ヒアルロン酸点眼、人工涙液点眼
流涙に大しては、NSAID点眼
を試みる。それでも、非常に強い愁訴がある場合、手術の適応と考えるらしい。
この手術方法には、二つの異なるアプローチがあり、有名なのは、横井先生の方法で、要するに、余っている結膜を切除する方法で、細かな修正が加わり、完成の域に達したらしい・・・。もうひとつの方法だが、結膜は、球結膜と瞼結膜があり、この二つは、結膜円蓋部で連続しているが、この部分が浮き上がることで、結膜が緩んできているので、この円蓋部近くの結膜を眼球に固定する(anchoring suture)術式である。全く、アプローチが異なるが、後者の方が、理にかなっているような気がします。
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薬店にあるメグスリ
http://takeuchime.exblog.jp/981671/
2005-11-28T13:41:00+09:00
2006-03-02T18:00:30+09:00
2006-02-27T13:43:29+09:00
takkenm3
医療情報(角膜)
薬店にあるメグスリ
『先生、めばちこが出来たので、目薬さしていたんですが、なかなか治らないんです。診てもらえますか・・・・』患者さんがやってくる。こういう場合、本当のめばちこ(麦粒腫)である可能性は、50%ぐらいだろうか。あとの半分は、結膜炎、角膜びらん、結膜下出血であったり、或いは何も異常がなかったりである。そして、問題の目薬だが、患者さんは、よく、目薬なるものを薬店で購入し、点眼するのであるが、なかなか治らないと不満を訴える。点眼瓶に入ったお薬、つまり目薬は、魔法の薬で、あらゆる眼疾患を治してくれるという妄想を抱いている人は非常に多い気がする・・・・ここに危険が潜んでいる。
そこで、薬店にある目薬とはどのようなものか。某大手製薬会社の販売する目薬を見てみよう。
①○○○Cキューブアイス×××
効能・効果:眼の疲れ、コンタクトレンズ装着時の不快感、涙液の補助、眼のかすみ(目やにの多いとき)
と書いてあるが・・・順番に検討してみます。
1) 眼の疲れの原因は多岐にわたり、この目薬で解決する見込みは非常に低い。
2) コンタクトレンズ装着時に不快感があれば、角膜・結膜に異常がある可能性が高く、こんな目薬をしている場合ではなく、コンタクトレンズを処方した眼科医に診察を受けるべきである。
3) 涙液の補助なら、人工涙液だけでいい。余計な成分が多すぎる。
4)眼のかすみが、目やにが原因なら、結膜炎かもしれない。眼科へ行くべきである。
有効成分:塩化カリウム0.08%、塩化ナトリウム0.44%、ハイロドキシプロピルメチルセルロース0.2%
添加物 ホウ酸、ホウ砂、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、・・・・
ここに有効成分が書いてあるが、この成分で何かが治るのであろうか。病気でない健康な眼なら、この目薬の持つ、冷たいさし心地、清涼感などが感じられるであろうが、問題は、何か異常のある眼にこのような有効成分の殆どない、添加物てんこ盛りの目薬が一日に何度も、何日も何週間も続けられた場合である。何も改善しないばかりか、病状を悪化させることは間違いない。
②○○○抗菌目薬××
効能・効果:ものもらい、結膜炎(はやり目)、目のかゆみ、眼瞼炎(まぶたのただれ)
と書いてあるか・・・
1) ものもらいと言うのは、麦粒腫のことで、通常マイボーム腺の化膿性炎症であるから、抗生物質の内服が有効で、抗生物質(抗菌剤)の点眼はどちらかと言えば補助である。ましてや、下記有効成分のうち、抗菌作用は、抗生物質登場以前から存在するサルファ剤だけが持っているのであるが、これとて、通常の原因菌である、ブドウ球菌には、殆ど無効だと思われる。
2) 結膜炎とあるが、これには様々な原因(細菌、ウイルス、アレルギー、薬物・・・)があり、中でもはやり目というのは、流行性角結膜炎に代表されるウイルス性結膜炎で、こんな目薬さしている場合じゃなく、眼科へ行くべきである。
3) 目のかゆみは、アレルギー性結膜炎だけが原因でなく、ドライアイや感染性の結膜炎のことも多い。どんな痒みにも有効な目薬があるでしょうか。
4) 眼瞼炎は、これも様々な原因で起こる。細菌性・アレルギー・薬物・・・何が原因なのかわからないまま、殆ど役に立たない成分しか入っていないこの目薬をすることは、百害あって一利なし!!!?
有効成分:スルファメトキサゾールナトリウム4.000% グリチルリチン酸二カリウム0.150%、マレイン酸クロルフェニラミン0.020%、酢酸d-αートコフェロール0.010%
添加物:アミノカプロン酸、ホウ酸、ホウ砂、エデト酸ナトリウム、塩化ベンザルコニウム、ポリソルベート80・・・・・・
このように、市販されている目薬の多くは、何の役にも立たない?? 100歩譲って、健康な目にとっては、爽やかさを提供するかもしれないが、病気の目にとっては、治癒を妨げ、眼科に行く機会を遅らせ、百害あって一利なしと思えてならない。このような薬物が何故、大量に売られているのであろうか。不思議である。
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